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【徹底調査】RADEON AI PRO R9700の情報を総まとめ&画像・動画生成の性能推定 NVIDIA GPUとの比較も!

えりる
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

AMDから登場したプロフェッショナル向けAI特化型GPU「Radeon AI Pro R9700」について、詳細なスペックと気になるAIベンチマークの結果を深掘りして解説したいと思います。

Radeon AI Pro R9700って調べてもあまりベンチマークなどの情報がなく、購入の指標となるものがない状況なので、海外のテック系の記事やSNSの利用報告をかき集めてまとめてみました。
R9700と対抗馬となる他のGPUの情報も合わせて性能の推定と比較を行いました。
この記事は、R9700の調査レポートです。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

えりる
えりる

実は買おうかなと悩んでたので、めちゃくちゃ調べてやりました。

さて、Radeon AI Pro R9700は、コンシューマ市場におけるAI利用の「VRAMの壁」を打ち破る、非常に興味深い存在です。
しかし、その性能は競合のGeForce RTX 50シリーズと比較してどうなのでしょうか。
ローカルAI運用を目指す皆様にとって、R9700が最適な選択肢となるのかを詳細に分析したいと思います!

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Radeon AI Pro R9700の基本スペック解説:32 GB VRAMの破壊力

Radeon AI Pro R9700は、AI開発やワークステーションのエントリー層をターゲットにしたモデルであり、AMDの最新アーキテクチャRDNA 4(Navi 48チップ)をベースにしています。

このモデルの最大の魅力は、ゲーミングフラッグシップであるNVIDIA GeForce RTX 5090と並ぶ大容量32 GBのGDDR6 VRAMを搭載している点です。

このセクションの主な情報源

AI特化型GPUとしての性能諸元

Radeon AI Pro R9700のコアスペックを、同じNavi 48チップを搭載するゲーミングモデルRX 9070 XTと、NVIDIAのフラッグシップRTX 5090と比較します。

項目AMD Radeon AI PRO R9700AMD Radeon RX 9070 XTNVIDIA GeForce RTX 5090
アーキテクチャRDNA 4 (Navi 48)RDNA 4 (Navi 48)Blackwell (GB202)
VRAM 容量32 GB GDDR6 (ECC)16 GB GDDR632 GB GDDR7
メモリバス幅256-bit256-bit512-bit
メモリ帯域幅640 GB/s640 GB/s1,792 GB/s
AIアクセラレータ128基128基680基 (Tensor)
FP16理論値 (AI)約 95 TFLOPS (ベクトル) / 191 TFLOPS (マトリックス)約 110 TFLOPS 1,000+ TFLOPS
TBP (消費電力)300 W300 – 330 W575 W
実売価格 (推定)$1,299 (約20万円)$599 – $649 (約10万円)$1,999+ (約32万円)

VRAM容量が最大の価値

R9700がゲーミングモデルのRX 9070 XT(16 GB)と決定的に異なるのは、そのVRAM容量です。AI開発において、16 GBと32 GBの間には大きな壁が存在し、例えば、4-bit量子化Qwen2.5-32Bなどの32Bクラスの大規模言語モデル(LLM)を実行するには22 GB〜28 GB程度のVRAMが必要となります。R9700は、この容量を安価に提供できるという点で、RTX 5090よりも低コストで大規模モデルを動かしたい個人ユーザーにとって、唯一無二の選択肢となっています。

さらに、R9700は薄型ブロワーファンを採用した2スロット設計であり、複数枚挿しによるマルチGPU構成(例えば4枚挿しで128 GB VRAM)を比較的容易に構築できます。
ブロワーファンは簡単に言うと、GPU同士が密着していてもエアフローが確保できるような設計になっているファンです。ただし、やかましいです。

演算速度とメモリ帯域の課題

一方で、R9700は演算性能とデータ転送速度において、NVIDIAのフラッグシップに大きく劣ります。

  1. メモリ帯域幅:
    R9700のメモリ帯域幅は640 GB/sであり、GDDR7を採用するRTX 5090の1,792 GB/secと比較すると約3分の1です。
    GPUの計算速度(FLOPS)がいくら速くても、データ転送速度(帯域幅)が遅ければGPUは待ちぼうけ(ボトルネック)になります。
    特にLLMの推論速度はメモリ帯域幅に大きく依存します。
  2. AI演算性能:
    半精度(FP16マトリックス)のピーク性能はR9700が191 TFLOPsであるのに対し、RTX 5090は1,000+ TFLOPSを誇り、純粋な演算速度では大きな差があります。

AIベンチマークの概況とパフォーマンス推定

R9700を実際に使用したベンチマーク結果と、そこから導き出される性能推定について解説します。

このセクションの主な情報源

2-1. 画像生成(SDXL / Z-Image)のパフォーマンス

画像生成AIの分野では、R9700の性能向上が確認されています。

  • Z-Image (1024×1024, フル精度):
    Debian 13/ROCm 7環境下、ウォーム生成(連続生成時)の平均時間が3.0秒を記録しています。
    これは、RTX 5090を電力制限(300W)した際の性能に匹敵すると報告されています。
  • SDXL 832×1216 (推定):
    R9700はRX 9070 XTと同じNavi 48コアを共有しており、VRAM容量内に収まるタスクであれば演算性能は同等です。
    ROCm 7環境下での性能係数(後述)を適用すると、R9700のSDXL生成速度は約9.6秒と推定されます。
    これは、GeForce陣営ではRTX 5060 Tiと同程度のパフォーマンスに相当します。

2-2. 動画生成(Wan 2.2 I2V)のパフォーマンス

Wan 2.2 I2V(Image to Video)ベンチマークでは、R9700はRX 9070 XTと比較して大きな改善を見せました。

  • R9700 (実測):
    ComfyUIを用いたWan 2.2の5秒テストクリップ(デフォルトワークフロー)の生成を170秒で完了しました。これはRX 9070 XTに対して約2倍〜3倍の速度向上であり、512ピクセルを超える解像度で発生していたドライバータイムアウトといった不安定性が解消されています。
  • 競合との比較:
    しかし、RTX 5090と比較すると、コールドスタート(初回起動時)においてR9700 Proよりも約3倍〜5倍高速であることが報告されており、純粋な生成速度ではNVIDIAが圧倒的です。
  • 720p (1280×704) での動画生成時間(推定):
    後述する性能係数を用いて推定すると、R9700は約1092.5秒かかると試算されます。
    これは、動画生成においてはRTX 5060 Ti 16 GB以下のパフォーマンスとなることが予想されます。
    この遅延は、R9700のメモリ帯域幅の低さ(640 GB/s)が、データ集約的な動画生成タスクでボトルネックになっているためと考えられます。

2-3. 推定計算に使用した性能係数の詳細

本報告書では、Radeon AI Pro R9700の性能を推定するために、既存のベンチマークデータ(Benchmarked The Radeon 9070XT, Radeon AI R9700 Pro And RTX 5090 WAN 2.2 I2V. : r/comfyui)から以下の係数を使用して計算を行いました。

推定項目根拠(出典)係数/値目的/計算プロセス
ROCm 7.0による高速化RX 9070 XTのWan 2.2 (512×512) 動画生成ベンチマークにおける、ROCm 6.4から7への生成時間短縮率0.56 倍RX 9070 XT (ROCm 6.4) のSDXL生成時間(17.1秒)に適用し、ROCm 7環境下での推定速度(約9.6秒)を算出。
R9700とRX 9070 XTの計算性能R9700とRX 9070 XTは同じNavi 48チップを搭載しており、VRAM容量内に収まるタスクでは演算性能が同等であると仮定。1.0 倍 (等価)RX 9070 XTの推定速度(9.6秒)をR9700のSDXL生成速度として適用。
Wan 2.2 720p動画生成におけるRTX 5090に対する遅延Wan 2.2 832×480 解像度動画生成ベンチマークにおいて、R9700の生成時間がRTX 5090に対してかかる比率を算出。6.4 倍RTX 5090の生成時間(170.5秒)にこの係数を乗じ、R9700の720p生成時間(1092.5秒)を推定。

まとめ

Radeon AI Pro R9700は、AI用途における「大容量VRAM」という点で計り知れない魅力を持っています。しかし、その性能を最大限に引き出すためには、AMDのAIソフトウェアスタック「ROCm」のさらなる発展が待たれる状況です。

コストパフォーマンスの評価

現時点のベンチマーク結果に基づくと、画像生成や動画生成といったコンシューマ向けAI用途でR9700の演算性能に対するコストパフォーマンスは、あまり良い結果とは言えません。

  • R9700と同等の価格帯で、より低消費電力(140 W)でCUDAの恩恵を受けられるRTX PRO 4000 Blackwellが購入可能です。VRAM は24 GBですが、純粋な画像生成・動画生成の速度を求める場合、NVIDIA製品の方が賢明な選択肢となる可能性が高いです。
  • ゲーミングモデルのRX 9070 XT(約10万円)と比較すると、R9700は価格が倍でありながら、VRAM内に収まる画像生成タスクでは同等の速度しか出ません。

推奨ユーザー

Radeon AI Pro R9700の真価は、そのVRAM容量マルチGPU適性にあります。
R9700は、LLM推論などVRAM容量がボトルネックとなる用途においては最強の選択肢ですが、画像・動画生成速度を主な目的とするライトなコンシューマユーザーにとっては、現時点では価格に見合う速度が出ていないことにご注意ください。

ユーザーの目的ベストバイ候補備考
予算最優先 & 画像生成メインRadeon RX 9070 XT16 GBで十分な画像生成にR9700の約20万円を出すのはコストパフォーマンスが悪いです。
大規模LLMを動かしたい(個人)Radeon AI PRO R9700R9700は約20万円で32 GB VRAMは唯一無二です。RTX 5090より安く、競合では動作自体が不可能な大規模モデル(70Bクラス)をローカルで動かせます。
最高速度が必要 (個人)GeForce RTX 5090圧倒的なTensor演算速度とメモリ帯域幅により、生成速度はNVIDIA陣営が圧倒的に有利です。
マルチGPUでVRAMを拡張したいRadeon AI PRO R9700薄型2スロット・外排気設計により、複数枚挿し(例:4枚で128 GB VRAM)を安価に構築できます。
VRAM多めのRTX & コストを抑えたいRTX PRO 4000 BlackwellRTX 5090の半額でVRAM 24 GBを実現でき、低消費電力(140 W)です。R9700と同価格帯でCUDAの恩恵を受けられます。
予算無限 & 最高性能 が欲しいRTX PRO 6000 Blackwell2025年12月時点で最高性能です。RTX 5090ど同等の演算性能で、VRAMは96 GBあります(LLMのgpt-oss-120b も動くサイズ)

RADEON AI PRO R9700 = 20万円台でVRAM 32 GBをゲットできる

GeForce RTX 5090 = 個人向けで最強。ついでにゲームも最強。

RADEON RX 9070 XT = VRAM 16GB界隈ではコスパ最強

RTX PRO 4000 Blackwell
=コストを抑えつつVRAM 24GBを実現+CUDAの恩恵を受けられる

RTX PRO 6000 Blackwell
= 予算無限なら絶対にコレ!(150万円出せる人)

参考文献

えりるさんが気になっている商品紹介コーナー

Minisforum のミニPC UN150P です。CPUは Intel N150 というもので基本的な消費電力は6Wくらいとかなり低消費電力でありながら、ネットサーフィンやYouTubeの動画視聴くらいなら困らないくらいの性能があります。Raspberry Pi 5 よりも性能が良いそうです。
消費電力が少ないので、Ubuntu等を入れてサーバー的に使うこともできますね。同じような用途だとRaspberry Piでもできますが、ケース等を買っていると結局同じくらいの値段になるので、それだったらミニPCにした方がいいかなと思います。
えりるさんはサーバー運用のお勉強に買ってみようかなあと計画中です。(Raspberry Pi 4 1GBだとちょっとスペックが足りなかった…)

えりるについて
えりる
えりる
日本のどこかに生息する平成生まれの研究者。とっても理論家と思いきや気分屋さんでもある。基本的にめんどくさがり。修士(工学)を持っている。 Windows, Mac, Linuxの三刀流。
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